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21世紀の世界ビジョンと日本の役割 会長就任の集い

思想新聞2001年8月15日号

小山田秀生 世界平和連合会長記念講演

 8月7日、東京・赤坂のホテルニューオータニで開かれた新会長就任の集いで、小山田秀生会長は21世紀の世界的なビジョンと日本の役割について講演。来賓はじめ全国の役員、会員ら700人が参加し、深い感動とともに新たな出発を誓った(以下、その要約)。

政治指導者は天運をつかめ負の遺産正し世界平和の実現を

 私は人生の半ばを海外で過ごし、このたびは6年ぶりに日本に帰ってきましたので、さまざまな感慨が心をよぎります。海外にいて一番気になるのは、日本に残した妻子の安全や祖国の命運です。いかに日本が天運と一致して栄えるか、これが関心の中心でした。

 既に21世紀に入りましたが、20世紀を総点検し、そこから21世紀の価値観とビジョンを立てるのが、今の課題ではないでしょうか。さまざまな20世紀の評価がありますが、私は三つの点と現代史の二つの謎について触れてみたいと思います。
 第一に、20世紀は戦争の世紀、紛争の世紀でした。第一次世界大戦、第二次世界大戦という地球規模の戦いが起こり、次にイデオロギー対立による東西冷戦時代があり、それが終結して後も、民族や宗教、地域対立をめぐる紛争が連続しています。忘れてならないのは、これに拍車をかけたのが、現代史の謎の一つである共産主義の出現とその終焉だということです。国家と基幹産業を破壊する体制としての共産主義は1917年のロシア革命で姿を現し、それから74年目に突如として滅亡しました。しかし、家庭や青少年を狙う思想及び宗教としての変型共産主義は今なお残っています。今日、マルクス、レーニンという名前は使いませんが、ルソーやカントの名をもって、いわゆる世俗的人本主義、神なきヒューマニズムが、家庭崩壊、青少年問題、犯罪、エイズまん延などの背後に影響していることを見落としてはなりません。
 かといって共産主義の滅亡は、民主主義・自由陣営の勝利ではありませんでした。それは、共産主義自体が当初から抱えていた内部矛盾が、時の経過とともに現れた、いわば自壊作用だったのです。その意味では、民主主義の将来も安心できません。民主主義は、その中にキリスト教的倫理観が存在していると健全な働きをしますが、今日のように価値観が揺らいでくると、共産主義と同じような運命をたどるかもしれないからです。
 20世紀の第二の特徴は科学技術の急速な発展と拡大です。交通や通信が発達し、地球が1日の生活圏になったのは科学技術の恩恵です。しかし、科学技術は光明面をもたらした半面、戦争や犯罪、環境破壊の増加など暗黒面ももたらしました。美しい地球も煤煙で覆われるようになりました。私は六年間暮らした南米の美しい空、澄んだ水と比較して、東京には空はないという悲しみを味わっています。
 第三に、20世紀には伝統的な精神文化が退廃してしまいました。それにはさまざまな理由がありますが、とくに宗教の責任が大きいと思います。宗教界が争い、分裂することによって、結果的には、人として生きる道、人類や歴史、人生の目標に対する明確な方針を示し得なくなったのです。その空白に共産主義が入り込み、青年たちを間違った方向に導いたわけですから、まさしく宗教家は大反省しなければなりません。
 現代史の第2の謎は戦後、第二次世界大戦の敗戦国であった日本とドイツが奇跡的に経済復興し、戦勝国であったイギリス、フランスが衰退したことです。そこには、21世紀が抱える問題を解決するカギが隠されているのではないかと思います。

日本は世界の母の国

 世界平和連合および世界平和超宗教超国家連合が創設された目的は、21世紀が抱える課題を解決するために、理念と指導者、さらに組織即基盤を提供することにあります。
 文鮮明総裁が構想する21世紀の世界を家族モデルで説明しますと、韓国は父の国、日本は母の国、アメリカは長男の国となります。そして、父母と長男が一体となって、世界に対する責任を果たさなければならないというのが21世紀のビジョンの根幹です。
 21世紀の究極的な課題は、戦争や科学技術の弊害など、20世紀の負の遺産を新しい価値観で正し、世界平和を実現することです。そのためには、宗教界、学界が団結して精神的な復興を進めなければなりません。今までの在り方を総点検、総反省する必要があります。私たち一人ひとりが、新しく生まれ直さなければなりません。
 私は南米で毒蛇と一緒に暮らしていました。蛇を見て学んだのは、脱皮しない蛇は死んでしまうということです。日本の宗教家、政治家はじめすべての人々も、そのままでは死んでしまいます。脱皮して、新しい生き方を模索し、歴史の方向性、天運、天命と一致するのが私たちの課題です。
 古臭い言葉のように思われますが、天運、天命とは何でしょうか。人間の考えや感情、事情を超えたものです。私たちが日本に生まれたのは、決して私の思いからではありません。背後にある宇宙の意思が、そうさせたのです。キリスト教的に表現すれば、神のみ旨、摂理となります。人間を超えた意思が日本をここに置き、私たちをここに生ませたことを明確に理解する必要があります。
 私たちが第一に知らなければならないのは、神が存在すること、それゆえ霊界というものがあることです。そこから、人間は地上においてその生を終えるものではなく、永生を持った存在であるという人間観が生まれます。その観点から、永遠に存在する霊界を知り、かつ確信を持つことが、21世紀を生きる私たちの第一の課題であると思います。
 第二は、天運は抽象的に来るのではなく、具体的な人物を通して来るものです。それが世界的な指導者や宗教家です。とくに歴史の中心にいた預言者、イエス・キリスト、釈迦、孔子、マホメット、ソクラテスのような人たちを通して天運が働いたことは間違いありません。21世紀の天運も中心的な人物に集中するはずです。今日、世界が、「人類の真の父母」と呼んでいる文総裁もまさしくその中心人物であるといえます。その意味で、文総裁の理念、実績、基盤を知り、それを継承しながら、今の課題にいかに応用するかが重要であると思います。
 文総裁の理念は二つにまとめることが可能です。一つは「為に生きる愛」、より大きな目的に向かって生きる愛の実践です。個人は家庭、家庭は社会、社会は国家、国家は世界、世界は宇宙、宇宙は神のために生きるときに、神は私たち一人ひとりのために生きられる。その投入する精神こそ、宇宙根本、天運の根本であるということです。
 第二は「怨讐を愛せ」です。イエス・キリストの「汝の敵を愛せよ」という教えと同じです。自分の怨讐を愛する以外に、天運をもたらす道はないということです。現実には、個人の心と体、男性と女性、あるいは政府と国民などがみな怨讐関係になっているわけですから、それらが互いに愛し合うようになるところに天運が到来するというのです。

アジア・太平洋文明の時代

 次に、世界史における文明の移動から、日本、韓国、アメリカの役割を考えてみたいと思います。グローバルに世界史を鳥瞰すると、文明は半島→島国→大陸と循環的に変遷しながら、動いてきたことが分かります。古代においては、イタリア半島と地中海を代表するギリシャの激しい出合いの中から、千年の地中海文明が現れました。その後、リベリア半島、スペインと大西洋国家であったイギリスが出合うことによって、近代の千年の文明が結実し、それがアメリカ大陸に定着したといえます。
 ではこれからの時代はどうなるのでしょうか。アジア大陸を代表する韓半島と、太平洋を代表する日本が激しくぶつかり合う時、そこから二十一世紀のアジア・太平洋文明が生まれるというのが文明史の流れです。
 しかし、人間の努力なしにそうなるのではありません。まず、それぞれの国には深刻な問題があります。韓国が役割を果たすには、平和裏に南北統一を実現しなければなりません。もちろん、一義的には南北両国の責任ですが、歴史的な関係から日本も大きな責任を持っています。アメリカやロシア、中国も同様です。そのため、日本国内にある民団と総連が、対立的な関係から和解的な関係になることによって、韓半島の平和的統一に大きな貢献をなすことができます。日本としてもその方向にもって行く責任があると思います。
「縮み志向の日本人」と言った人がいますが、6年ぶりに日本に帰って、日本はこんなに狭かったのかというのが私の実感です。南米では一番近いところに行くのにも、車で300キロ走って飛行場に行かなければなりませんでした。日本は小さいところに素晴らしさを発揮していますが、小さい心では世界の母となり得ません。世俗的人本主義の影響を受けた狭い意識から、神主義、頭翼思想に基づいた世界意識に転換する必要があります。それには宗教界や学界が一致して倫理、道徳の復興を進め、世界から尊敬されるような倫理的先進国とならなければなりません。それが日本の大きな課題ではないかと思います。
 アメリカも同様に建国精神に立ち返り、キリスト教精神を強化すると同時に、やはり残っている人種差別をいかに解決するかが大きな課題です。アメリカが世界の平和にとっていかに重要であるかを知る文総裁は30年前からアメリカに活動を集中させ、アメリカが天運に対応するように働きかけてきました。
 私がお会いした日本の政治家の中で「天運」に敏感に反応されたのは、岸信介、福田赳夫、安倍晋太郎、中曽根康弘といった方々でした。今、日本では小泉純一郎首相が人気を博していますが、もし天運に一致しなければ、いつかは足元をすくわれかねないでしょう。天運と一致すれば、今までのいかなる指導者よりもすぐれた業績を残されるに違いありません。

国連の構造改革を

 アメリカでは、レーガン大統領、ジョージ・ブッシュ大統領に対して、私たちはワシントンタイムズ紙を通じて強力に支援をし、間違った場合には忠告もしてきました。
 加えて、国連の構造改革を進めています。私が国連での活動で強く感じたのは、各国の国連大使は国益の代弁しかしていないことです。地球的規模の環境問題、食糧問題、人口問題、青少年問題を解決しようという政府組織は存在しません。残念ながらそれが事実です。であるとすればNGOに期待が集まるのですが、あまりにもバラバラです。2万以上のNGOが雑多に存在しているのが実情です。
 今、私たちはジョージ・W・ブッシュ政権と共に国連改革を進めようとしています。アメリカと日本と韓国とは最も近い友人で、断じて別れてはなりません。ゆえにミサイル問題や教科書問題をめぐって、重大な国の方向性を誤ってはなりません。
 ブッシュ政権はアメリカの伝統として三つの外交政策を堅持しています。それは、民主主義と市場経済、宗教の自由です。この三つの原則に違反する国があれば力をもってしても強い姿勢で臨むというのがブッシュ政権の固い決意です。とくに宗教の自由の問題において日本は注意する必要があります。
 統一された韓半島、新しい日本がアメリカと同盟関係で結ばれるとき、そこには強力な平和秩序が形成されると思います。それがアジア・太平洋文明の幕開きです。
 結論として、まず精神復興運動を進めるのが日本の課題です。第二に、世界の母の国として日本の役割を強く進めていきたい。また宗教界の協力を得て青少年問題に取り組むことです。そして世俗的人本主義、変型共産主義に毒された日本ではなく、神主義、頭翼思想により天運に一致した日本となるよう、会員の皆さんの参加を得ながら草の根の活動を展開していきたいと考えています。

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