国際勝共連合 機関紙 思想新聞は創刊56年 通巻1896号 (令和8年4月1日)

米で同時多発テロ

思想新聞2001年9月15日号 TOP

卑劣極まる大量殺戮を許すな犯人グループの背後に共産主義思想

ハイジャックされた旅客機が激突して炎上、崩落したニューヨーク・マンハッタンの世界貿易センタービル(9月11日、米ニューヨーク、マンハッタン島=ロイター・サン)

 米ニューヨークの世界貿易センターのツイン・タワーとワシントンの国防総省に対して11日午前(日本時間同日夜)、ハイジャックした民間航空機で突っ込むという前代未聞の卑劣な同時多発テロが慣行された。米国の経済、政治・軍事の中枢部の破壊を狙った史上希なテロ行為で、米国に対する宣戦布告なき戦争といえる。テロは断じて許してはならない。日本は米国を強く支持し、テロの悲劇が二度と起こらないように、万全の方策を構築しておかねばならない。

 今回、米国で起こった同時多発テロは、犯人グループが民間航空機を4機もハイジャックし、それを米国経済すなわち資本主義経済の象徴であるニューヨークの国際貿易センターのツイン・ビルと、米国軍事すなわち世界秩序の象徴であるワシントンのペンタゴン(国防総省)に体当たりして破壊し、数千人の被害者を出すという想像を絶するテロ攻撃だった。
 テロ攻撃は断じて許されない。米国へのテロ攻撃は自由と民主主義を共有する同盟国への攻撃をも意味している。日本は小泉首相が事件後の記者会見(12日)で強調したように米国を強く支持し、連携を一層強化して自由と民主主義を破壊しようとするテロに対して断固として戦うべきだ。
 テロに対してどう対応すべきか。96年7月に開催されたG7(先進7カ国)とロシアによるテロ対策閣僚会議は「いかなる形態であろうと、いかなる動機であろうと、一切のテロを許さない」とのテロ撲滅宣言を発している。テロに対する最悪の対応はテロリストに妥協し、テロ行為を容認することである。だから妥協なく戦うことがテロ防止の原則だとテロ撲滅宣言は述べている。
 ブッシュ米大統領は国民へのメッセージの中で「テロリストとそれを指揮した人物や匿っている人物との区分けをしない」として徹底した犯人究明・責任追及を行うとの強い決意を表明している。米国が妥協なく犯人究明・責任追及を指向するのはテロ撲滅宣言からいっても当然のことで、これを日本は断固支持すべきだ。米国が在日米軍基地からテロ報復の軍事行動を起こしても日本は躊躇せず支持すべきだ。
 またテロ撲滅宣言は25項目の措置を採択し、大量輸送手段に対するテロ攻撃を防止するために乗客名簿や積み荷目録、車両特定のための基準統一などを決めていたが、それから五年経過し、これら措置が形骸化しつつある。テロ対策措置を徹底的にチェックし直さねばならない。
 ところでブッシュ米大統領は五月にミサイル防衛網を柱とする新安保体制の構築を提唱したが、その中で「21世紀は現在よりも不確実で予測不能な時代」と指摘していた。米ソ超大国が対峙する時代から、いわゆる「ならず者国家」が大量破壊兵器を入手することによって、攻撃形態が予測できない不穏な時代に入ったというわけだ。今回のハイジャック・テロは、まさに予測不能な攻撃だったといえよう。
 そこで日本政府はテロを戦争の一形態との視点に立ち、治安出動や領域警備など安保体制の範疇(はんちゅう)でテロ対策を確立しておかねばならないだろう。

●テロリスト黒幕の正体を見極めよう

 対米テロ事件の背景には「最も危険なテロリスト」と呼ばれるオサマ・ビン・ラーディンが関わっているとされる。「米国に対するジハード(聖戦)」を唱えるビンラーデンは、93年2月の世界貿易センタービルの爆破事件や98年8月のケニアとタンザニアの米国大使館同時爆破テロ事件を起こすなど、数々の対米テロを仕掛けてきた。
 ラーディンは徹底した反米思想の持ち主で、世界情勢を「米国を中心とするキリスト教・ユダヤ教文明によるイスラム世界への新十字軍」と捉え、イスラム世界からの米国駆逐、米国と結託するアラブ各国政権への攻撃を「イスラム教徒の義務」と主張。サウジアラビアで建設業を起こし富豪となるも、94年にテロ関与を疑われ国籍剥奪、スーダンを経て96年からアフガニスタンを実効支配するタリバンの「賓客」として滞在、現在は数千人のアラブ人民兵に軍事訓練を施している(読売9月12日)。
 イスラムでも大半の人々は穏健だ。にもかかわらずなぜ、ラーディンのような過激なイスラム原理主義者が現れるのか、その背後に共産主義思想が潜んでいることを見落としてはならない。
 第二次大戦後、世界経済の主導権はGATTおよび世銀IMFグループが握り事実上、米国支配で推移してきた。これを打破するために共産主義者が唱えたのが、世界経済は工業国=中心と一次産品国=周辺に二極分化するという従属理論だ。
 従属理論は、帝国主義時代の「世界経済」の延長上に「世界システム」が作り上げられ、途上国は常に先進国の土台となる宿命にあり、だからこれを打倒しない限り、いつまで経っても途上国は豊かになれないとする。この考えに反西洋文明を指向する純粋なイスラム教徒が乗せられてきた。イスラム原理主義者が少なからず「米国に対するジハード」に熱狂するようになった背景には、従属理論を唱える共産主義の影響を否定できない。
 イスラム教徒=テロリストとして、キリスト教西洋文明諸国がイスラム全体を敵視するようになれば、それこそ共産主義者の思うツボである。真の宗教的覚醒による平和志向が望まれる。

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