思想新聞2003年11月15日号【主張】
先の総選挙では40議席増を果たした民主党が国会での発言力を強めるのは必至とされる。もちろん、野党第一党にすぎず、直接的に政権に影響を与えるわけではない。しかし、国会は議員立法が可能で、民主党がイニシアチブを取って政策実現もでき得る。そこで注意が必要なのは、民主党のマニフェストにない「隠れた政策」である。
「四つ隠れた政策」が問題
第一の民主党の「隠れた政策」は夫婦別姓制導入である。
夫婦別姓、具体的には選択的夫婦別姓制の導入をマニフェスト(政権公約)の中でうたったのは公明党と社民党、共産党の三党で、民主党は掲げてはいない。
このうち社民党と共産党は激減、とりわけ両党の女性候補が次々と落選し影響力を低下させた。公明党は本気で同制度の導入を図るのか未知数である。
ところが、民主党にはマニフェストにない選択的夫婦別姓制の導入を声高に叫ぶ議員が数多く存在するのだ。民主党は前回の二・五倍となる十五人の女性議員が当選している。もちろん、同党の女性議員の中には夫婦別姓制導入に反対する人もいるが、小宮山洋子議員をはじめ夫婦別姓制導入をとなえる議員が少なくない。新人女性議員には旧社会党ばりの左派イデオロギーの持ち主も見受けられる。
こうした議員らが自民党まで巻き込んで選択的夫婦別姓制の民法改定案を議員立法で提出する可能性がある。
第二の民主党の「隠れた政策」はジェンダーフリーだ。
どの政党もジェンダーフリーをマニフェストに掲げてはいない。しかし、社民党と共産党はかねてからジェンダーフリーを推奨している。民主党は党内に男女共同参画委員会を置き、「男性・女性の固定的な役割分担を前提とせず」とのジェンダーフリー的色彩の強い男女共同参画社会政策の推進をめざしている。同党の支持基盤の日教組がジェンダーフリー教育を学校に持ち込もうとしており、そうした影響を受けている。
第三の民主党の「隠れた政策」は青少年健全育成基本法反対である。
青少年の健全育成に反対する党もまったく存在しない。しかし、健全育成を主張する政党もきわめて少ないのが実状である。そこが民主党の「隠れた政策」となっているのだ。
マニフェストに青少年健全育成を入れたのは自民党だけである。同党は教育政策の中に「青少年健全育成基本法の早期成立」をあげ、「青少年の健全育成に社会全体で取り組むため、国民の理解と協力を求めて青少年健全育成のための社会的規制を強化する」として、現在、参議院自民党で検討している「青少年健全育成基本法案」の早期成立をめざすとした。
他党で同法案に公然と反対するのは今のところなく、マニフェストでも言及していない。しかし、同法案がかつて青少年有害社会環境対策基本法案として自民党内で論議された際、マスコミが同法案と個人情報保護法案、人権擁護法案の三つを「メディア規制法案」と位置づけて猛反発し、野党がこれに同調して反対をとなえた経緯があるのだ。
今回のマニフェストに民主党は「盗聴法、住基ネット法、個人情報保護法など、国家権力による人権侵害のおそれのある現在の法制を見直す」としているが、ここに「青少年健全育成のための社会的規制を強化」することが国家権力の介入として反対する素地が見られる。
国家権力などとの表現は民主党に似つかわしくないが、この表現は実は社民党のマニフェストとうり二つなのである。社民党の場合は「国家による監視社会に反対」として、住基ネットの凍結・廃止、個人情報保護法改正や「通信傍受法(盗聴法)の廃止」をうたっている。ふつう通信傍受法と呼ばれるのに、これを民主党が「盗聴法」と呼ぶのは、旧社会党流の解釈にほかならないからだ。
旧社会党の影響が今も
第四の民主党の「隠れた政策」は教育基本法反対である。
教育基本法改正は中教審が答申し、多くの論議を呼んでいるにも関わらず民主党はマニフェストで一言も触れなかった。マニフェストでは「親の不安を解消する教育を実現する」として学校運営に関する政策をあげ、平成18年度から「平成の教育改革」を順次、実施に移すとしただけである。教育基本法改正に賛成するのか反対するのか、態度を明らかにしなかった。
ここにも日教組や旧社会党系の影響が垣間見える。教育基本法改正を言わないことは現状維持であるから改正に反対ということになり、したがってこれも「隠れた政策」になるのだ。
以上のような民主党の「隠れた政策」は要注意である。同党が社会党化することのないように警戒しなければならない。


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