【思想新聞2002年1月15日―1面】
印パ緊張にも注目
●国際米対テロ戦略と韓国大統領選・北朝鮮の動向
世界は今後「無秩序の拡大」、それとも「新たな再編」に向かうのか。1914年に勃発した第一次世界大戦は、大英帝国中心の世界システムから米国中心の世界システムへの「再編」を結果としてもたらした戦争であった。昨年九月の米国中枢同時多発テロの直後、ブッシュ大統領は「新しい戦争」であると叫んだ。果たして世界は新たな再編に向かうのだろうか。
米国の今後の行動が注目される。一部政府高官はイラク攻撃などについて言及し、戦線拡大を示唆している。政権内部での意見の一致はまだないが、民間人を巻き込む戦線の拡大は「無秩序の拡大」、「アウト・オブ・コントロール」状態への引き金になりかねない。
注目すべきは核保有国・パキスタンであろう。ウサマ・ビンラディン捕捉、タリバン崩壊を目指す米軍事行動に協力することは、これまでのパキスタンを否定することであったのだ。タリバンを養成し、アフガニスタンに親パキスタン政権を作ってカシミール地方帰属問題をめぐり宿敵インドと対峙してきたのである。ムシャラフ・パキスタン大統領に対するイスラム教指導者の不満、不信は大きい。米国の行動次第では、そのエネルギーを抑えることができなくなり、パキスタンは大混乱に陥る可能性も否定できない。南アジアは泥沼化し、NBC(核・生物・化学)兵器のボタンが押される事態もありうる。テロ一掃の軍事行動は新たな段階を迎えている。
今年の世界経済も米国の動向が決定づけることになろう。米国経済が後退局面に入ったのは2000年春。その結果、アジア、欧州ともに大きな打撃を受けた。米国が風邪を引くと世界は肺炎になる国が続出するのだ。ユーロ通貨の流通に沸く欧州の姿は一面的現象。内実は中核であるドイツの景気後退など、深刻である。「今年半ばには底を打つが回復力は弱い」との見方が、米国経済予測の大半を占めている。ブッシュ政権は内外の深刻な課題を抱えながら、11月の中間選挙を戦わなければならない。
北東アジアの動向にも目が離せない。北朝鮮の労働新聞は「反テロの名のもとに敢行されている米帝と南朝鮮の好戦分子らの反共和国、反統一策動によって朝鮮半島では現在、緊張状態が激化している」(1月1日)と米、韓非難の社説を掲載した。閉塞感を強める結果の行動を注視しなければならない。
韓国では12月に大統領選挙があり、太陽政策の存続に審判が下る。金大中大統領は金正日総書記のソウル訪問をあきらめないと述べてはいるが。金正日総書記の外交努力によって結びなおしたロシア、中国との関係も微妙に変化してきている。ロシアと米国は反テロ戦線で予想をはるかに越えて結束。中露、朝露関係はかすんでしまった。そして、中国は昨年12月にWTOに加盟した。世界ルールにのっとっての経済活動が義務付けられる。外国資本の導入にとってはプラスであるが、関税を低くすることによって国際競争の荒波に突っ込む。小麦・大豆農家1千万人、国有企業2千万人の失業が予想される。そして秋口には第16回共産党大会により江沢民国家主席は退く。自国の事で精一杯になるのではないか。北朝鮮の動向が注目される。


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