国際勝共連合 機関紙 思想新聞は創刊56年 通巻1896号 (令和8年4月1日)

【2003年 内外情勢の展望】韓半島情勢が世界最大の焦点に

思想新聞2003年1月1日号

日韓米一体で北東アジアの平和を

国際勝共連合中央本部

 2003年の世界と日本はどう動くだろうか。世界の焦点となるのは中東と北東アジアである。すなわち年明け早々から米国のイラク攻撃が秒読みに入り、中東情勢は大きく動くのは必至だ。次いで核開発を公然と宣言した北朝鮮に対して米国が強硬姿勢を崩さず、韓半島危機が頂点に達すると見込まれる。一方、日本は有事法制やスパイ防止法制定などの安全保障上の課題を残しつつ、不良債権処理など未曾有の経済危機を抱え、小泉政権は正念場を迎える。4月の統一地方選挙、さらに解散総選挙が予想され、本年は日本の進路を決する21世紀最初の政治決戦の年になるだろう。

●国際情勢

 2003年の焦点の一つ、イラク情勢は9・11テロ事件後の国際反テロ戦の流れの中にある。それは世界の安全保障観が大きく変化したことも意味している。その現れがブッシュ米大統領が打ち出した「ブッシュ・ドクトリン」といえよう。
 ブッシュ大統領は02年1月の一般教書演説でイラク、イラン、北朝鮮を「悪の枢軸」と呼び、大量破壊兵器開発を企てるテロ支援国家と非難し対テロ戦争の遂行を表明。02年国防報告ではテロ組織や「悪の枢軸」の脅威に対抗して、核使用も含めた先制攻撃も辞さない方針を明示した。そして国際テロとの長期戦を視野に国土防衛体制を見直し、新たに「国土安全保障局」を設置した。
 これを踏まえ打ち出したのが02年9月の「国家安全保障戦略」(ブッシュ・ドクトリン)である。同戦略は今後の国家の安全保障が冷戦時代のように必ずしも国家対国家の対称型だけにはならず、アルカイダといった国際テロ集団から国家国民を守る非対称型が問題になり、むしろこれが21世紀型の脅威になるとし、従来の対脅威戦略から「予防」と「先制攻撃」を重視した拒否的抑止戦略に転換した。こうした考えから米国は弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約から脱退して「恐怖の均衡」戦略に終止符を打ち、5月にはロシアと新たに戦略核戦力削減条約を結んだ。

■イラク攻撃の次に北朝鮮が俎上に

 このように米国は21世紀型戦争に備えるべく安全保障戦略を大転換させたのである。このブッシュ・ドクトリンの最初の試金石がイラク問題にほかならない。
 イラクは91年の湾岸戦争以来、国連の対イラク決議を16回も無視し、国際的義務を怠る「重大な違反」を続けてきた。そこで国連安保理は11月、全会一致で対イラク決議すなわちイラクに対して大量破壊兵器破棄の義務を履行することを迫る決議を行った。12月にイラクが国連に提出した申告書には虚偽の記載があると米国は断じており、査察の終了する1月下旬以降、イラク攻撃が始まると見ておかねばならない。
 日本はこれを全面的に支援すべきである。法整備が必要ならばそれを考慮し、イラクの戦後復興にも全力を挙げて協力すべきである。なぜならイラク問題の解決は03年のもう一つの焦点、北朝鮮の動向に直結してくるからである。
 北朝鮮はソ連が崩壊した90年代前半から核兵器の原料製造が可能な黒鉛減速炉の開発を進めたため、韓半島では核危機が急浮上。これに対処するため91年11月、文鮮明・世界平和連合総裁が訪朝して金日成主席と会談、同主席との間で「核エネルギーは平和的目的にだけ使用し、北朝鮮は道理にかなう国際核査察を受けることを確認する」(91年12月6日)などの4項目合意を行った。同年12月31日には韓半島非核化共同宣言に南北が合意した。
 これに基づき北朝鮮は核査察を受け入れたものの、査察を十分に行わせず国連安保理が非難し再び核危機が勃発。結局、94年10月に北朝鮮は米国との間で「米朝枠組み合意」に調印し、核開発を凍結すると国際社会に約束した。その見返りに米国は軽水炉型原発を提供することにし同原発完成までの代替エネルギーとして毎年50万トンの重油を提供、昨年8月初めには北朝鮮咸鏡南道の琴湖地区で原発建設の基礎部分へのコンクリート初注入も始まった。
 ところが北朝鮮はこうした国際公約を踏みにじって極秘裏に核開発を進めていた。このため11月には米国は重油提供を停止した。これに対して北朝鮮は12月21日には寧辺の黒鉛実験炉でIAEA(国際原子力機関)が設置していた封印を一方的に撤去、国際社会を挑発するかのように核開発の姿勢を鮮明にしたのである。
 これは北朝鮮による米朝対話再開をめざす「核カード」であり「瀬戸際外交」といえる。12月19日に韓国大統領選で与党の盧武鉉氏が当選、金大中大統領の太陽政策が継承されることになったが、北朝鮮はこれを受けて「核カード」を切ったと見てよい。南北関係がこれ以上悪化することはないと見越して、対米交渉を再開させる材料としての「核カード」なのである。北朝鮮の狙いははっきりしている。金正日体制存続と経済再生である。体制存続の決め手は米国の認知である。米国が北朝鮮を「悪の枢軸」から外し不可侵条約を締結して体制存続を狙っている。「核カード」は対話再開の口実づくりの一つなのである。
 その米国をにらみつつ経済再生をめざして決断したのが、9月17日の日朝首脳会談である。拉致を認めてまでも日朝国交再開で合意したのは、ひとえに経済支援を期待したわけだが、拉致家族の帰国問題に加えて核問題が浮上して日朝交渉は暗礁に乗り上げた。
 北朝鮮はブッシュ政権を見誤っている。ブッシュ政権にはこうした恫喝外交は通用しない。イラク情勢の進展とともに北朝鮮はそのことを思い知ることだろう。となると再び南北、日朝交渉再開を目論んでくる。日韓米三国の隙を巧みに突きつつ本命の米国との対話を狙っているからだ。
 したがって今年、最も重要になるのは日韓米の一体化である。日韓米が対北朝鮮政策を一致させておかねばならない。とりわけ盧武鉉新大統領は日米との関係を強化し日韓米同盟を明確に打ち出さねばならない。北朝鮮が核兵器開発や化学・生物兵器開発、ミサイル輸出を止めれば国際社会に受け入れられる環境ができることを金正日総書記は悟らねばならない。金総書記がこれ以上「瀬戸際外交」を続けていけば、北朝鮮は「瀬戸際」で済まなくなり、韓半島危機は一挙に頂点に達することになるだろう。

■「文明の衝突」の回避が重要課題に

 国際対テロ戦で留意しなければならないのは、「文明の衝突」に陥らないことである。とりわけイスラム文明との関わりである。ブッシュ大統領はこのことに考慮しイスラム教指導者との対話を進めるなど努力を重ねている。それでも国際テロ組織がイスラム教の「聖戦」としてテロ行為を続け、貧富の格差等の元凶を米国・キリスト教文明と断じて反米感情を煽っている限り、対テロ戦が「文明の衝突」との印象をイスラム教徒に与えかねない。イスラエル―パレスチナ紛争が過激化しているのに加えて、インドネシア・バリ島やケニア・モンバサでの爆弾テロで象徴されるテロの地球規模化が危惧される。その意味でも対テロ戦を決して「文明の衝突」にさせてはならない。
 ローマ法王は11月、ローマの教皇庁立ウリバノ大学での演説で、テロを非難し「時に不可避と思われる文明の衝突を避けるべく努力するよう」カトリック学生を励ました。ローマ法王は大量のイスラム教徒が西欧社会に移民として流入しキリスト教徒との軋轢が生じて「文明の衝突」が起きることを懸念しているとされる(ルーベンシュタイン「ローマ法王が懸念する『文明の衝突』」 世界日報12月20日)。
「文明の衝突」としては将来的には中華文明との関わりが問題になるだろう。中国は11月の中国共産党第16回大会で江沢民院政下での胡錦涛体制をスタートさせ、党規約を改正し「国民党」をめざすことになった。だが、一党独裁体制は不変である。WTO(世界貿易機関)加盟で世界的市場経済体制の一員になったが今後、失業者増、沿海地域と内陸部の貧富の格差拡大など矛盾が噴出してくると予想される。対外貿易摩擦のみならず対内摩擦の激化も避けがたく、これが引き金となる「文明の衝突」が危惧されよう。
 いずれにしても日本は日韓米同盟が生存の主柱であることを明確に認識しておかねばならない。日本と北東アジアの安全保障の確立、南北平和統一への視点を無視して日朝国交などあり得ないのである。

有事法、スパイ防止法制定が急務浸透する共産主義思想の一掃が課題に

●国内情勢

 2002年の日本は「戦後体制」の総決算が迫られながら、ついにこれが実現できなかった禍根の残る1年となった。
 小泉首相の掲げる構造改革も「戦後体制」に終止符を打とうというものである。一種の開発独裁型の中央集権的な政治構造が「戦後体制」であり、構造改革はこれにメスを入れ「民の力」を呼び起こそうとする。だから既存勢力はこれ抵抗する。ここから政治的混乱が生じ、今年は不良債権処理によってこれに拍車を掛けることになる。
 小泉首相の皮算用は次のようなものだ。今年は不況が一段と強まるものの、不良債権処理が進めば日本経済は上昇気流に乗る。道路公団の民営化で代表される特殊法人改革を進め、次いで念願の郵政事業の民営化に着手する。巨大な「別の政府」である財政投融資の出口と入口を抑え込めば、巨額の資金が民間に回り活力が生じて日本再生が可能となる――。
 このシナリオ通りに展開するかどうかは小泉首相の支持率いかんにかかっている。そのプロセスで今年は解散総選挙が避けられないだろう。4月の統一地方選、そして6月の通常国会終盤の解散、もしくは自民党総裁選の行方をにらんで秋の解散が有力視されているが、いずれにしても解散風が吹きまくる。

■やり残されている戦後政治の総決算

 そんな中で積み残してきた「戦後政治」の総決算をやり遂げなくてはならない。
 その第一は有事法制の制定である。有事関連法案は昨年の通常国会で戦後初めて上程された。だが結局、継続審議に終わってしまった。イラク問題の後、北朝鮮情勢の緊迫化が予想され、有事態勢づくりが急がれるにもかかわらず、平和ボケからついに成立させることができなかった。
 有事法整備は国家の第一義的責務であることを自覚せねばならない。国際法さらに日本国憲法で認められた「個別的自衛権」の具体的行使についての「デュープロセス」(適正手続き)が有事法制である。これがないこと自体が異常である。
政府・与党は昨年秋の臨時国会に有事法修正案を提示し、定義があいまいだった武力攻撃事態の「恐れのある場合」を「明白な危険が切迫している」事態と言い換え、緊急事態として新たに「大規模なテロリズムの発生」と「武装した不審船の出現」を設けた。これによって定義のあいまいさが消えた。
 また国民保護法制を提示した。これは有事態勢づくりの一環として不可欠なものである。一部野党は私権制限を批判しているが、有事に一部の私権が制限されるのはより公益のためには当然のことであり、世界の常識である。修正案と「国民保護法制」は野党の要求を受けて出されたものだ。次期国会で与野党を越えて法案の早期成立を期すべきである。
 こうした有事論議で欠落しているのがスパイ防止法である。なぜ北朝鮮の工作員はやすやすと日本国内で拉致を行え得たのか。この問いに対して長年、警察で警備・公安畑を歩んできた佐々淳行氏(初代内閣安全保障室長)は「スパイ防止法が制定されていれば、今回のような悲惨な拉致事件も起こらずにすんだ」(『諸君』02年12月号)と言明している。
 スパイ防止法を早急に制定しなければ、いつ拉致事件が再発してもおかしくない。これは平時における対策であるが、これを放置しているのは許し難い。今年は有事法制と並んでスパイ防止法制定を実現させなくてはならない。同時に北朝鮮に対して拉致家族の帰国、行方不明者の完全解決を要求していくのは当然のことである。

■教育基本法の改正が不可欠

 第二は教育基本法改正である。中央教育審議会(中教審)は教育基本法を見直す最終報告を今年早々にも提出する。これを踏まえ通常国会で教育基本法改正を必ず実現させねばならないだろう。
 現行の教育基本法は五つの問題点がある。すなわち、1.「個人の尊厳」を強調するあまりに子どもたちに自己中心的、エゴイズムの「私」ばかりを重要視させて、「公」に対する義務を軽視させ「為に生きる精神」を奪ってきた 2.個人の価値や利益を越えた「公益」や「全体の価値」すなわち共同体としての国民的一体感(ナショナル・アイデンティティ)の養成を怠り、歴史や文化、伝統を軽視し、郷土愛や愛国心を子どもたちから奪ってきた3.家庭の価値をかえりみず、家庭の基本的理念すら提示しないことによって人としてのあるべき徳目から目をそらさせ、教育荒廃を解決する適切な指針となり得なかった 4.宗教的情操教育を否定することによって生命の根源に対する畏敬の念を失わせ、道徳教育を形骸化させて、心豊かな子供たちを育てられなかった 5.「教育は不当な支配に服することなく」(第10条)との条項を盾に国の教育権をないがしろにされ、日教組をはじめとする左翼教師の唯物論・革命教育を許してきた、の五点である。
 教育基本法改正ではこの五つの問題点を克服しなければならない。昨年秋に提出された中教審の中間報告は、「公共」に関する国民共通の規範の再構築や伝統、文化の尊重、郷土や国を愛する心といった日本人のアイデンティティの確立を目指す条項を盛り込むことを求め、さらに家庭の果たすべき役割や責任を新たに教育基本法に規定することが適当としているものの、宗教的情操教育については棚上げしに、国の教育権についても何ら触れていない。また「愛国心」について偏狭なナショナリズムの誤解を与えるとして「国を愛する心」に変更した。このように不足点や日和見的な面が散見される。
 教育基本法改正ではこうした問題点を克服して青少年の健全育成に真に必要な改正を勝ち取らねばならない。
 国民の道徳基盤の醸成を急がねば日本は未曾有の犯罪大国に成り下がるだろう。02年版「犯罪白書」によると、01年の一般刑法犯の検挙率はついに19.8%に低落した。凶悪犯が急増したばかりか過去5年間で強盗や傷害、暴行、強制わいせつなど9つの罪種で2.6倍増という著しい増加ぶりを示した。これに対応し治安を回復するには国民的な意識改革が不可欠であり、とりわけ「家庭の価値」復権が最大課題となっている。
 なぜなら犯罪白書は犯罪急増の背景として「家庭・学校の教育機能の低下」「社会の規範意識の希薄化」「地域社会の連帯機能の低下」の三点をあげ、わが国の道徳基盤の崩壊現象が犯罪急増・検挙率急落現象となって表面化していると指摘しているからである。
 いうまでもなく道徳基盤崩壊の最大の原因は家庭崩壊にあり、家庭の価値を見直し「家庭再建」をはからねば治安回復はあり得ない。このことは少年が検挙者全体の4割を占め人口当たりの検挙者数が成人の8倍にのぼっていることからも明らかであろう。

■過激な性教育と「男女参画論」

 以上の日本の諸問題の背景に共産主義思想が存在していることを見落としてはならない。有事法制、スパイ防止法制定に反対しているのは政党では共産党、マスコミでは朝日新聞の共産勢力である。共産主義者は青少年の堕落を誘うべく過激な性教育論を学校に持ち込んでいるばかりか、はき違えた「男女共同参画」論を行政に持ち込み伝統的な家庭観と男女観潰しに奔走し、さらには税制や社会保障政策にも介入し家庭の絆を崩壊させる方向で徘徊している。
 こうした共産主義の浸透、策動を阻止し祖国日本の復興へ我々は全力を挙げなくてはならない。そして日本をして国際道義国家として再生あらしめ、世界平和に貢献する誇るべき国家を築いていかねばならない。
 そのような決意を込めて平成15年度運動方針を決定した。>>>

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