国際勝共連合 機関紙 思想新聞は創刊56年 通巻1896号 (令和8年4月1日)

対北朝鮮「圧力」強化を 核放棄・拉致解決の主張貫け 

思想新聞2003年9月15日号【1面TOP6カ国協議】

「恫喝」に屈さない安保態勢を

6カ国協議に臨む各国代表たち
(8月27日、中国・北京=ロイター・サン)

 北朝鮮の核問題などを話し合う日韓米中ロ朝の6カ国協議が八月下旬に北京で開催された。同協議でも北朝鮮は核実験を示唆するなど相変わらず「核恫喝」に終始したばかりか、核放棄をエサに他国から経済支援を先に取り付けようとする露骨な自国中心の取引外交も見せた。こうした北朝鮮の要求に断じて妥協してはならない。安易な妥協は「恫喝外交」を容認したことになり、悪しき伝統を残すことになるからだ。北朝鮮が国際社会を裏切って核開発に踏み切ったのだから、北が核放棄を行うことが先決である。それが実現するまで国際社会は一切妥協せず、対北圧力を強めて行かねばならない。同時に日本は「核恫喝」に屈さない強固な安保態勢を構築していく必要がある。

 8月27日から3日間にわたって北京で開催された6カ国協議で、米国をはじめ周辺5カ国はそろって北朝鮮に核放棄を求めた。これに対して北朝鮮は「核保有」を最大の武器に使って米国に「不可侵条約」を結ばせて「体制保証」を取り付けようと暗躍した。
 朝鮮中央通信(8月29日)による北朝鮮が主張する「体制保証」への「ロードマップ」(工程表)は次のようなものだ。
 ①第一段階=米国が重油提供を再開、食糧支援を拡大する。北朝鮮は核計画放棄を宣布する。
 ②第二段階=米国が不可侵条約を締結し電力損出を補償する。北朝鮮は核施設と核物資を凍結し査察を許容する。
 ③第三段階=朝米、朝日関係を樹立。北朝鮮はミサイル問題を妥結。
 ④第四段階=軽水炉を完成させる。その時点で北朝鮮は核施設を解体。
 このロードマップでは明らかに北朝鮮がまず実を得る仕組みになっている。北朝鮮が核計画放棄を宣布するだけで(つまり口約束)、米国は重油提供と食糧支援を行うことになる。米国がこれらの提供を行えば当然、日本や韓国にもゴーサインが出ることになり、北朝鮮は米日韓をはじめ周辺諸国から莫大な支援を取り付けることになる。
 このように第一段階だけで北朝鮮は重油と食糧を手に入れるという当面の目標を達成できるのだ。この時点では核計画の放棄だけだから、これまで手に入れた核は保有でき実施的な核放棄に至らない仕組みだ。
 その上で第二段階に移るが、ここでは米国と不可侵条約を締結するのが第一となる。締結には時間が掛かり、あるいは米議会の反対で締結できないかも知れず、その間、北朝鮮は秘密裏に核開発を行うことができる。しかも条約締結とともに電力損出の補償を上げており、ここでも莫大な資金を手に入れることができるが、こうした理不尽な条約締結と補償はおそらく米議会が許さず、結局、北朝鮮は第一段階で得た支援を“只食い”した上で、核開発のための時間稼ぎをしたことになる。
 このような不法な北朝鮮の思惑を国際社会が容認することはできない。これに対してケリー国務次官補は北朝鮮が求める不可侵条約の締結を拒否し、「厳格な査察が可能な形で核計画を無条件放棄」することを求めた。同次官補は93年以降の核危機の経緯を説明して北朝鮮の主張の理不尽さを指摘。同時に日本人拉致問題、紙幣偽造や麻薬密輸にも言及した。米国の対応は正しいものだ。
 北朝鮮は92年に韓国とともに「南北非核宣言」を行い、韓半島の非核化に同意。九四年には米国に対して「米朝枠組み合意」で核施設の凍結・解体を約束した。日韓は言うまでもなく中国もロシアも韓半島の非核化を支持しており、北朝鮮の核武装を是としている国は一国もない。ケリー次官補が言うように北朝鮮がまず核を放棄しなければ協議は進展しないのは当たり前のことだ。
 それでも米国は6カ国協議で可能な限りの柔軟姿勢を示した。同次官補は「北朝鮮が検証可能かつ再開不可能な核放棄に応じることが確認されれば、次回協議の全体会合で安全保障上の憂慮を話し合う用意がある」と述べたのだ。「圧力と対話」を米国は十分に心得ているといえる。
 パウエル米国務長官は9月5日、次回の6カ国協議で北朝鮮が米国に求めている「安全の保証」を与える方法を検討していることを明らかにしている。米国が描いているロードマップは次のようなものだ(日本経済新聞9月6日等)。
 ①第一段階=北朝鮮が核放棄を確約すれば、米国は確約が信用できるか検証する。
 ②第二段階=北朝鮮が査察団受け入れ、核施設閉鎖、査察団常駐という段取りで進めば、米国は制裁緩和、エネルギー支援、国際機関への加盟後押しなどの措置をとる。
 ③第三段階=北朝鮮が核完全放棄の作業を完了し、米国は核計画が再開しないことを見届ける。
 ④第四段階=米朝国交正常化、不可侵の文書化(平和条約の締結を想定)を行う。
 ここでは明らかに北朝鮮が核放棄を先行させることになる。第二段階の支援のタイミングや措置の内容は北朝鮮の出方次第だ。また米国は日本人拉致の解決、麻薬輸出阻止などをこのプロセスに入れるとしており、わが国としては拉致問題の解決を一貫して迫っていかねばならないだろう。
 これらを受け入れ北朝鮮が核放棄を国際社会に証明すれば、間違いなく「安全の保証」が得られることになるだろう。ただし、これは北朝鮮が求める「体制保証」ではあり得ない。「北」にとって「体制保証」とは「戦時体制」と「独裁体制」の維持を意味するが、こうした「体制」は破綻することはあっても、誰も保証することはできないからだ。
 また米国は北朝鮮と不可侵条約も結べない。米国は1928年の不戦条約締結以降、こうした条約は一切結んでいない。しかも仮に米国が北朝鮮と不可侵条約を締結すれば、北が韓国や日本を攻撃した時、米国はこれに拘束されて対北朝鮮軍事行動がとれなくなり、米韓および日米安保体制は機能しなくなる。不可侵条約を根拠に在韓・在日米軍撤退の圧力も働く。つまり、北朝鮮の言う不可侵条約締結は単に米朝関係だけのものでなく、日韓米の同盟関係を根底から崩すことになる。こうした意図が込められている不可侵条約を米国は結べるわけがないし、我々もそれを許すわけにはいかない。
 だから米国が描くロードマップがぎりぎりの妥協線といえる。これにも北朝鮮が応じようとしないなら、次なる舞台は国連安保理しかない。安保理で北朝鮮に核拡散防止条約(NPT)への復帰を促し「検証可能かつ再開不可能な形での核計画の放棄」を迫り、これに応じないなら本格的な経済制裁に入ることになるだろう。
 北朝鮮が大量破壊兵器を保持し続け、さらにミサイル輸出や麻薬密売など「ならず者国家」路線を捨てないなら、わが国も覚悟を固めねばならない。「核の恫喝」に屈さない強固な安保態勢を築いておく必要がある。日本国民は「戦後ボケ」から目覚めねばならない時なのだ。

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