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世界指導者サミット2003 超宗教的調和こそ平和の基礎 「ソウル平和宣言」を採択


思想新聞2003年9月1日号【ニューススコープ】

 世界120カ国の国家元首経験者、国会議員、外交官、言論人、NGO指導者、女性指導者など約四百人が集まって、「転換点の世界――平和とグッド・ガバナンス(共治)の世界的ビジョン」をテーマとする「世界指導者サミット」(主催=世界平和超宗教超国家連合〔IIFWP〕)が8月11日から15日まで韓国ソウル市内のヒルトンホテルで開催された。11日夕の開会晩餐会の後、会議は12日午前に開会式を行い、全体会議や三つの分科会、分野別円卓会議などを通じ討論を進め、最終日の15日には討議結果をまとめ「ソウル平和宣言」を発表。同宣言は、2000年8月にIIFWP創設者の文鮮明総裁が国連本部において提唱した超宗教議会(Inter-Religious Council)設置構想の実現へ向けた具体案を示す形となった。

 開会式では郭錠煥IIFWP世界会長が基調演説を行い、「神が人類の目に見えない真の父母であり、我々すべて真の父母になりうることが文鮮明総裁の教え」と紹介し、「現在の組織では国連は精神的で倫理的、社会的なビジョンを持つ宗教的伝統と関連した人々からいかなる支援も協力も得られない」と指摘、文総裁が提唱した超宗教議会の必要性を強調した。
 司会のIIFWP日本議長でもある小山田秀生FWP会長は「国連はこれまで多くの貢献を行ったが課題も多い。世界平和につながる国連の刷新・改革が必要」と指摘。続いてトマス・ワード米ブリッジポート大副学長が「家庭は愛と平和の学校。家庭を中心とすれば平和の世界が生まれる」と家庭の重要性を強調、カレン・スミスIIFWP国連関係事務局長は、国連が共治を実現するため現在の「兄弟間競争」から「父母の心情」のパラダイムに転換すべきと主張。米「イスラム知恵の家」指導者モハメド・アリ・エライ師とハミルトン・グリーン元ガイアナ首相がコメントし具体的に討議に移った。
 分科会のうち、中東平和イニシアチブで、ヘガジー元エジプト首相は、「世界の半数以上の国家がパレスチナ国家の承認を支持。だが、国連は同国家承認を宣言しない」とパレスチナ人の苦境を訴えた。イスラエルの女性NGOの代表シャレフ女史は、「ロードマップに代表される中東和平努力も、政府の外交努力だけでは成功しない。草の根レベルの努力が必要」と強調。英国の上院議員ナジル・アハメド氏は、「中東三大宗教には共通点が多い。神学的相違もほぼなく、争点も政治的ゆえ解決法も政治的なものであるべき」と述べ、宗教間対話が果たす役割に限界があると主張した。
 このほか分科会「人間開発とガバナンス」では、「真の教育は技術や知識を教えることではなく、心情の交流から生まれる」との意見が出された。「韓半島での平和構築」セッションでは「どのように韓半島に平和を構築するか」という平和イニシアチブ構想が話し合われ、半島に関わる関係国が「北朝鮮を国際社会の一員として引き出す責任を果たすべき」との認識で一致。「国際関係における米国の責任」のセッションでは、「戦略国際問題研究所」(CSIS)客員研究員を務めるポール・チェンバレン氏がブッシュ政権の外交政策が「一国主義」に陥りやすいことを指摘しつつ、唯一の超大国として「特別な責任」を持っていることを自覚し、慎重に行動するべきだと強調した。

国連に働きかける具体案を討議

 また、国連に超宗教理事会を設置する提案についてセッションを行い、具体化をめぐる掘り下げた討議が行われた。
「フレンズ・オブUN」のノエル・ブラウン会長(米国)は、超宗教議会の国連への設置は「国連憲章の改正が必要で、それには長期間の交渉が必要となり、非常に難しい作業」と現状を説明しながらも、世界の諸問題を解決できない国連の現状から、抜本改革が必要だとの認識を示した。その上で、「一度提案すれば後戻りできず、同構想は新しい次元に突入する」ため、その前に本格的な議論と目的達成への戦略を練るべきだと訴えた。
 同会長は具体案として、①平和大使が自国の政府に働きかけ②そのネットワークを構築し情報交換する③国連で超宗教議会構想が話題となるよう外交活動を展開④国連総会で共同提案する国を数多く募る⑤05年の国連60周年期に提案――との案を示し、また同理事会の目的、具体的機能を明確にしていく必要があると指摘。
 パキスタンの「人道問題の為の事務局」ジア・リズビー事務総長は、超宗教議会に「無神論者、懐疑論者も含めるべき。宗教者が集まるにせよ、人類のための会とし、人道目的を明確に」とした。国連では理想とは裏腹に各国の政治的駆け引きで葬り去られた構想が多いとし、宗教者だけではなく、各分野の人材の糾合の必要性を強調。その具体的な戦略として、①過激主義、根本主義に反対する機関として支持獲得②国連手続きに従い具体化③抵抗が予想される国連憲章改正ではなく、委員会レベルで理想実現を目指すことも検討④行動計画をつくり、各国政府の説得に備える――などの考えを示した。「国連は安保理が支配する非民主的な機関だ」とし、拒否権を持つ安保理常任理事国(五大国)が事実上支配するのが現状だと指摘、超宗教議会構想が、既得権を持つ強大国の駆け引きの犠牲となり、抵抗・妨害の可能性を危惧。これらの障害を乗り越え構想の実現には、綿密な戦略と行動計画が必要だと警告した。
 モルドバのビオレル・ピリサカリ国会副議長は、「紛争は民族間以上に宗教間の争いが多く、非常に危険な状況」との認識を示した上で、「超宗教議会という文総裁の構想は非常に優れた奇抜なアイデアであり、20世紀最後に現れた最も優れた提案」と絶賛、「過去半世紀、国連は国家間の平和を提案してきたが、宗教間の平和を築く努力をするために国連の構造が大きく変わらなければならない」と強調した。
 ロシアのワレリー・サハロフ・ユネスコ代表部上級顧問は、同構想を各国政府に説得し、広く支持を求め「ユネスコを通じ、構想具体化の基盤を作る」とした。独立国家共同体(CIS)でも宗教団体による「最高宗教議会」を作り宗教間対話を図っていると紹介。
 ボスニアヘルツェゴビナのサラエボ・イスラム研究所のネジャル・グラブス教授は「宗教に対する国連の態度は不明確」として超宗教議会構想を高く評価。「国連は同構想に対し、既存団体に頼ろうとするだろうが、現在の問題には対応できていない」と指摘した。
 閉幕の際、グリーン元ガイアナ首相によって読み上げられた「ソウル平和宣言」は、三宗教の和解と赦しを謳い5月にエルサレムで採択された「エルサレム宣言」、より広範な超宗教的会議によって拡大した6月の「ワシントン宣言」を踏まえて採択された。
 同宣言は四項目からなり「世界的な平和、安全、および人間開発の本質的基礎としての超宗教的調和と協力の必要性」を強調し、「他者の為に生きる原理を適応し、人種、宗教、民族の壁を越え、平和と神の理想成就を目指す」とした上で、「国連が『戦争の惨害から将来の世代を救う』という緊急の使命遂行の効果を強化する手段として、超宗教議会に関する提案を促進する特別委員会を形成するよう総会に求める」と明言したものとなった。

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