思想新聞2004年2月1日【TOP共産党大会】
綱領改定でも「人民共和国」究極目標に
天皇制・自衛隊容認は「当面」の詭弁
日本共産党は1月13日から5日間にわたって静岡県熱海市で第23回党大会を開催し、43年ぶりに「全面改定」した新たな党綱領を採択した。不破哲三議長――志位和夫委員長を軸とする執行部体制に変化はない。新綱領はマスコミで「ソフト路線」「柔軟路線」の集大成と報道されているが、従来の「宮本綱領」と本質的にはまったく変わっておらず、マルクス・レーニン主義を堅持。「当面」の目標である民主連合政権を強調することで天皇制や自衛隊を「容認」したかのように強調するものの、究極の目標としては天皇制廃止・自衛隊解消による「人民共和国」実現を据えている。この共産党の本質を見誤ってはならないだろう。
共産党の第23回党大会は、「21世紀最初の大会で、党綱領を43年ぶりに改定する歴史的党大会」と位置づけた。共産党にとって「綱領」はいわば憲法で、党の路線や方針を規定するだけに、その「全面改定」はきわめて重要な意味を持っている。
従来の共産党綱領は、1961(昭和36)年に宮本顕治氏(名誉議長)が党権力を握った際に策定したところから「宮本綱領」と呼ばれ、「日本革命の展望」として「民主主義革命」と「社会主義革命」の二段階革命を通じて日本共産化を目指すとしていた。今回、その綱領を「全面改定」した。
だが、「全面改定」と言っても骨格は何ら変わっていない。不破議長は大会初日の13日、開会の挨拶で「1961年の第8回党大会で採択した党綱領は、43年にわたる歴史の試練にたえ、その基本路線の正しさを実証してきた。今回の改定では、その基本を受け継ぎながら、新しい世紀の日本と世界の前途を展望しつつ、その内容をより現代的かつ合理的に発展させ、日本社会の発展の課題と展望を明らかにする」と表明。すなわち、宮本綱領の「基本路線」を継承することを明確にしたわけである。その意味で「全面改定」とはほど遠い内容と言ってよい。
宮本綱領の最大の特徴は、レーニンの「二段階革命論」(「民族および植民地問題に関するテーゼ」1922年、コミンテルン第2回大会)に忠実に従っていることだ。すなわち、戦後日本を「アメリカ帝国主義に半ば占領された事実上の従属国」と位置づけ、それゆえに打倒すべき対象として「アメリカ帝国主義」と「日本独占資本」の「二つの敵論」を掲げた。そこから、「日本革命」はまずアメリカ帝国主義を追い出す「民主主義革命」を成し遂げ、ついで社会主義を実現する「社会主義革命」を遂行する「二段階革命論」が打ち出された。
今回、改定綱領もこれを踏襲し、「わが国は、高度に発達した資本主義国でありながら、国土や軍事などの重要な部分をアメリカに握られた事実上の従属国となっている」と位置づけている。「二つの敵」については表現をやわらげてはいるが(すなわち偽装)、「アメリカ帝国主義は、世界の平和と安全、諸国民の主権と独立にとって最大の脅威」「日本の独占資本主義と対米従属の体制を代表する勢力から、日本国民の利益を代表する勢力の手に権力を移す」と、相変わらず米帝・日帝の「二つの敵論」に立って、二段階革命論を導き出している。革命路線は不変なのである。
ただし、改定綱領は「当面」の課題を強調することによって「柔軟ソフト路線」を印象づけようとしている(これも偽装である)。
たとえば、「現在、日本社会が必要としている変革は、社会主義革命ではなく、異常な対米従属と大企業・財界の横暴な支配の打破――日本の真の独立の確保と政治・経済・社会の民主主義的な改革の実現を内容とする民主主義革命である」とする。民主主義革命については「それらは、資本主義の枠内で可能な民主的改革であるが、日本の独占資本主義と対米従属の体制を代表する勢力から、日本国民の利益を代表する勢力の手に国の権力を移すことによってこそ、その本格的な実現に進むことができる。この民主的改革を達成することは、当面する国民的な苦難を解決し、国民大多数の根本的な利益にこたえる独立・民主・平和の日本に道を開くものである」としている。
ここから、いわゆる天皇制・自衛隊容認論が登場する。改定綱領は「天皇の制度は憲法上の制度であり、その存廃は、将来、情勢が熟したときに、国民の総意によって解決されるべきものである」と記されているところから、一部マスコミは共産党が天皇制を容認したと解釈している。だが、果たしてそうだろうか。改定綱領は正確には次の様に記しているのだ。
「天皇条項については、『国政に関する権能を有しない』などの制限規定の厳格な実施を重視し、天皇の政治利用をはじめ、憲法の条項と精神からの逸脱を是正する。党は、一人の個人が世襲で『国民統合』の象徴となるという現制度は、民主主義および人間の平等の原則と両立するものではなく、国民主権の原則の首尾一貫した展開のためには、民主共和制の政治体制の実現をはかるべきだとの立場に立つ。天皇の制度は憲法上の制度であり、その存廃は、将来、情勢が熟したときに、国民の総意によって解決されるべきものである」
つまり、「将来、情勢が熟したとき」に「民主共和制の実現をはかるべき」とし天皇制廃棄を言明しているのである。本質は全く変わらないのだ。
日米安保条約はどうか。従来の綱領は「破棄、全アメリカ軍の撤退と軍事基地の一掃のためにたたかう」という表現だったが、改定綱領は「破棄しアメリカ軍とその軍事基地を撤退させる。対等平等の立場にもとづく日米友好条約を結ぶ」としている。つまり「たたかう」との表現を消し「友好条約を結ぶ」という表現で柔軟さを装い、カモフラージュしただけであって、日米安保破棄の中身はまったく変わっていない。
また、自衛隊容認論がマスコミで流されているが、果たしてどうか。改定綱領は「自衛隊については、海外派兵立法をやめ、軍縮の措置をとる。安保条約廃棄後のアジア情勢の新しい展開を踏まえつつ、国民の合意での憲法第九条の完全実施(自衛隊の解消)に向かっての前進をはかる」と記し、どこにも自衛隊容認論を唱えていない。従来は「自衛隊の解散を要求」と記されていたのに対して、改定綱領は「国民の合意」で「憲法第九条の完全実施」に向かって「前進をはかる」とやわらげて記しているにすぎない。中身は自衛隊解消でまったく変化がないのである。
さらに改定綱領は、最後の第五章で「社会主義・共産主義の社会をめざして」を掲げ、将来、「生産手段の社会化」などの推進を明言している。
以上のことから、共産党は従来どおりの革命政党であることが明白である。党員には相変わらずマルクスやエンゲルス、レーニンの古典本を「独習指定文献」などと位置づけて学習させ、「科学的社会主義」による思想武装を促している。「柔軟ソフト路線」といった幻惑にだまされてはならない。


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