国際勝共連合 機関紙 思想新聞は創刊56年 通巻1896号 (令和8年4月1日)

総選挙、最大争点は「憲法」改正への政治日程を提示せよ

思想新聞2003年10月15日号【1面TOP】

日本再生に新国家像が不可欠

 小泉首相は10月10日、衆院を解散し、10月28日公示、11月9日投票に向かって、いよいよ2003年政治決戦・総選挙の火ぶたが切って落とされた。今回の総選挙はさきに自民党総裁に再選された小泉純一郎首相率いる自公保三党連立政権を選択するか、それともマニフェスト(政権公約)を掲げて政権交代を主張する民主党政権を選択するかの「政権選択選挙」とされている。だが、それは外的な政権の枠組みにすぎない。今総選挙の最大の課題は、60年近くにわたって続いてきた「戦後政治」を総決算し、21世紀にふさわしい新しい国家創建への第一歩を印すことにほかならない。具体的には戦後政治を規定してきた現行憲法を改正する道筋をつける。それが今総選挙の歴史的使命である。

 今の日本政治が抜本的改革に着手できずに問題の先送りを繰り返してきたのは、ひとえに”諸悪の根源”たる現行憲法を後生大事に頂いてきたからだ。明治維新と敗戦に続く第三の変革期とされる現在、それを敢行するには明治憲法、昭和憲法に続く第三の平成憲法を制定し、新たな国家像を確立することが不可欠とある。
 さすがに護憲を主張するのは共産主義勢力だけになった。すなわち共産党は総選挙公約において「憲法改悪の計画を中止させるために全力をつくす」と叫び、社民党は「新たな政権は憲法を変えるのではなく、憲法をくらしと政治に生かす柱に据える」と護憲を掲げる。それほど共産主義者にとって現行憲法は都合がよいということだろう。
 これに対して他党は改正への温度差から「改憲」「創憲」「加憲」と表現が違うがいずれも改正に前向きな姿勢を示している。各党の憲法に対する政策を見ると要旨次のようになる。

[自民党]2005年11月までに党の憲法改正案を策定、両院憲法調査会の議論を十分踏まえつつ、現行憲法の問題点を吟味し、21世紀の日本にふさわしい国民のための憲法制定を目指す(マニフェスト原案)。
[保守新党]2010年までに新しい憲法の制定を目指す。新憲法では緊急事態に対する危機管理体制の明確化、自衛隊の憲法上の明確な位置付けと集団的自衛権保持の明確化を図る。環境権やプライバシー保護の問題や世界有数の経済大国となったわが国の国際的責任と役割を明確にする。憲法改正の国民承認を得るため「憲法改正国民投票法(仮称)」の制定を図る(マニフェスト)。
[公明党]憲法制定から56年が経過し、現行憲法の制定時には想定されなかった視点での権利や考え方が生まれている。憲法第九条は堅持し、国民主権主義、恒久平和主義、基本的人権の保障の憲法三原則は不変のものと確認した上で、環境権など「新しい人権」を憲法に加えるべきだという「加憲」という考え方で臨む(02年11月、第4回党全国大会運動方針)。
[民主党]「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」という憲法の三つの基本理念を踏まえ、時代に即した憲法論議を積極的にすすめる。憲法を「不磨の大典」とすることなく、またその時々に都合のよい憲法解釈を編み出すのではなく、憲法が国民と国の基本的規範であることをしっかりと踏まえ、国民的な憲法論議を起こし、国民合意のもとで「論憲」から「創憲」へと発展させる(マニフェスト)。
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 自民党は小泉首相が8月に山崎幹事長(当時)に結党50年(05年)に改正案を作成すること指示したことを踏まえて公約を作成しているが、これでは対応が遅すぎよう。
 05年を待つまでもなく、すでに今年7月末に自民党憲法調査会の憲法改正プロジェクトチーム(谷川和穂座長)が、第九条の安全保障に関する改正要綱案をまとめ「国家の独立及び安全を守るため、個別的自衛権及び集団的自衛権を有する」とし「自衛権を行使する組織として、自衛軍を保持する」と改正するよう提言している。改憲案は明日にでも作成可能といっても過言ではない。
 改憲に最も踏み込んでいるのが保守新党で、「憲法改正国民投票法」の制定を掲げているのが特徴である。同法はすでに超党派の憲法調査推進議連が01年11月に「憲法改正国民投票法案」を発表している。また民主党に合流した自由党も「現行憲法の改正手続制度(国会法の改正、憲法改正国民投票法)」の整備を主張した経緯があり、その気になれば与野党一致して来年の通常国会でも法整備が可能である。
 民主党と公明党は改憲の中身が定まらず、ふらついている。
 民主党内には護憲勢力(旧社会党)が存在し、今回のマニフェストづくりでも混迷、結局、「創憲」という表現に落ち着き、改憲の中身を濁してしてしまった。しかし、民主党は改憲に逃げているという批判に配慮して合併大会の翌日(10月6日)に1年3カ月ぶりに憲法調査会(中野寛成会長)を開き、04年末をめどに民主党の憲法改正案の骨格をまとめる方針を確認した。これは自民党の05年改正案づくりに対抗しようというものだが、改憲の旧自由党勢力と護憲の旧社会党勢力の対立が深まるのは必至だ。これを克服して改憲案を作成できれば民主党も本物の政権交代政党になるといえよう。
 一方、公明党は長く護憲政党を掲げてきたことから「改憲」に踏み込めず、環境権などの「加憲」に留まっている。しかも改憲の焦点となる九条は共産党や社民党と同じく堅持を主張している。自民党と保守新党、それに民主党内でも集団的自衛権行使を憲法に明記する改憲論が大勢となりつつある中で、公明党の九条堅持姿勢は時代遅れもはなはだしい。
 ともあれ、与党第一党の自民党と野党第一党の民主党が改憲案づくりのタイムスケジュールを出した意義は大きい。改正案づくりからいよいよ改正への政治日程を論議する時期に入ってくる。むろん、その前に憲法改正国民投票法を制定させておく必要がある。 さらに重要なことは憲法改正によっていかなる国家を創建するのかという改憲の中身になる。総選挙を通じて政党は改憲による国家像と改憲への政治日程を提示する責任があるといえよう。

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