思想新聞2002年5月15日
自主憲大会 櫻内義雄 会長就任挨拶
私はご覧のような老骨でして、新しい憲法をつくる、その陣頭に立つには、大変荷が重い、恐縮なことだと受け止めております。理事会・評議会のご相談の結果、不肖私が木村睦男元参院議長の後を受け、会長を拝命いたしました。
会長人事選考の事情を申し上げますと、当初、衆参両院の議長経験者か首相経験者ということで、まず然るべき人に打診したのですが、あいにくそれぞれ要職がありご承知受けできないという由でした。そして木村先生が12月にお亡くなりになり、5月の大会までに決めないといけないということで時間が切迫して、この際は「櫻内がやるべきだ」ということで、お引き受けすることになった次第です。
皆さんも「せっかくの会長にはもっと颯爽とした会長の下で新憲法の制定に邁進してもらいたい」と思われるでしょうが、かような経緯で私がやむなくお引き受けしたということをご了承いただきたいと存じます。私も皆様方のご協力ご支援のもと、この職責を大過なく全うし、大いに成果を挙げたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
私は、ちょうど岸内閣発足前に、岸信介先生のご指導を頂戴しました。つまり、岸幹事長の下で副幹事長を務めて以来、しばらく岸先生には何かとご指導を受けた一人でございます。
この「新しい憲法をつくる国民会議」は、長らく岸先生が深厚をかけ17~8年、会長をおやりになられました。その後の木村睦男先生は参議院議長をなされ、憲法の知識も十分で著書も出されておりました。
ところが私は経済畑の方でして、本来ならばふさわしくないかもしれませんが、五月に近づくにつれ、会長を選ばないといけないぎりぎりの状況でしたので、不肖ながら「やれるかどうわからんが、やる以上はベストを尽くす」とお引き受けした次第です。
新憲法の制定となると、なかなかの難事業ではないかと存じますが、幸いにして、衆参ともに憲法調査会を設置して、この調査会には両院とも与野党各党が参加して調査を進めていっています。これは新憲法制定へ向けてまことに喜ばしい動きであると言えます。
衆議院では特に中山太郎先生が奮闘されています。ですから「新しい憲法をつくる国民会議」の新会長には、中山君が適任であると考えましたが、国会の方で活動中ですので、連携を保ちながら皆様のご期待にそえるよう努力して参ります。
岸先生、次いで木村先生が多年にわたり会長としてご苦労されてきましたが、なかなか思うような成果が得られずにおりました。ところが幸いにして近年、国民世論として、第一に教育の面で、繰り返されるいじめや校内暴力といった目を覆うような非行行為が、教育の荒廃に帰していると多くが等しく思うところであるゆえに、改憲の論議が高まってきた一因ではないかと存じます。
私は往年、慶応大学で福沢諭吉先生の教えを受けた者ですが、福沢先生は、「自由はいい。しかしその自由は他人の自由を侵すものであってはならない。そこにバランスが問われるものである」と説かれました。
しかるに、非行に走る青少年の姿を見ますと、自分勝手な行動で多くの人に迷惑をかけているような状況です。ですから今ご紹介した福沢先生の教えなどを頭において、これからの青少年の教育というものが自ずから実践されていく必要がある。そうでなければ、いまの青少年に日本の将来を背負わせることは、とうていかないません。
最近では湾岸戦争やアフガンへの軍隊の出動において、日本は同盟国である米国に対していささか協力が中途半端である。いわゆる戦闘行為は憲法九条の上からできないと、輸送や医療などの後方支援でのみ協力しているわけです。しかし、独立主権国家として果たしてそれでいいのか。9・11テロ事件後、米国はテロ支援国家としてイラン・イラク・北朝鮮を挙げました。目の前の国がそういう状況なのです。国益の為に万全を尽くしていかないといけない時に、こうした有事の支援に際して、真の独立国家としては足らざるものがあり、それを正していくことこそが、この「新しい憲法をつくる国民大会」の最大の眼目であります。国会での憲法調査会の活動とともに、そこに我々の独立国家・日本としての真の姿にふさわしいように考えていく、大事な点への配慮が必要であると考えます。
皆さんとともに、日本の永遠の国家としてその基盤をしっかりとつくっていく、そのために全力を傾注していく所存です。


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