思想新聞2004年2月1日【マスコミ論壇ウォッチング】
任期4年の間に達成する政策目標と、なによりも自分が国をどの方向に導くかを鮮明にして選挙に臨むアメリカの大統領選挙こそ、今はやりの「マニフェスト選挙」そのものということになる。現職候補に挑戦する側も、党を代表した候補擁立に至る過程で、党員集会や予備選挙で、その政策から人格に至るまで厳しく吟味し、その結果を経て党大会で最終的に大統領候補として決定する。
いわば、同じ党内で「マニフェスト」を戦わせ、その結果、党員や有権者の支持を集めることができる大統領候補として決定されるのである。
そして、当選したあかつきには、就任演説と、その後、毎年1月末に行う一般教書演説で、出馬にあたって自分が掲げた政策の進捗状況と、向こう1年の目標を新たに示しながら国民を導いていくのである。
そのような観点から、1月20日(米国時間)、ブッシュ大統領の行った今年の一般教書演説をみると、9・11によって始まった対テロ戦争への毅然とした姿勢が改めて表明されていることに加えて、同政権の政策を端的に表していた「思いやりある保守主義」を実践するために、様々な宗教団体の慈善活動の果たす役割を高く評価し、それを一層激励し援助するという内容となっている。
時を同じくして、時事電は昨年亡くなったマグドナルドの創業者、故レイ・クロウ氏の故ジェーン夫人が、代表的な慈善団体である「救世軍」 に1600億円(15億ドル)を寄付したと報じている。
『朝日新聞』の1月22日付けの朝刊などは、ブッシュ演説の内容について「もっと謙虚に世界を見てほしい」とか、大統領選挙にむけてキリスト教保守派の支持取り付けを狙った提案などと批判的に記している。
しかし、ブッシュ提案の背景にはジェーン夫人の示したような、アメリカ社会の底流に流れている、事業に成功し財をなした人が、恵まれた者の使命としてその財産をより多くの人々の福祉の増進や幸福の実現のために捧げる、高い次元での「チャリティー(慈善)」の精神のあることを再認識すべきであろう。


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